美情環　広瀬洋一

AEDで生徒救命　教諭が連携し蘇生　渋川市、全校配備後初　部活中に突然倒れ

上毛新聞20070508

　渋川市の渋川中学校（池田登校長）で
四月下旬、部活動中に突然倒れた一年
生の女子生徒を、複数の教諭が連携し
て自動体外式除細動器（AED）と心臓
マッサージなどで蘇生させ一命を取
り留めたことが七日分かった。女子生
徒は入院したが、後遺症はなく同日、元
気に登校した。AEDは心停止した人
に電気ショックを与えて心臓機能を正
常化させるもので、市は昨年度全二十
七小中学校に配備。今回が導入後初の
成功例となった。

　市教委や同校などによると、二十五日午後五時
二十分ごろ、体育館内で部活動中の女子生徒が締
めくくりの軽いランニングをしていたところ、突
然前かがみに倒れ、意識がもうろうとした状態で
動かなくなった。

　現場にいた二人の顧問の一人が心臓マッサージ
などを行い、もう一人の顧問がAEDを置いてあ
る職員室に駆け込み119番通報を要請。教頭ら
がAEDを持って体育館に行き、倒れてから四分後
には女子生徒にAEDを装着。AEDの音声の指示に従い作動させた。

　渋川広域消防本部の救急隊員が到着した時に
は、呼吸は断続的で、意識ははっきりしていなか
ったが、心臓は動いていたという。すぐに同市内
の病院に搬送され、その日のうちに意識が戻り、
数日後に退院した。女子生徒に心臓病の既往症は
なく、倒れた原因は現時点で分かっていない。

　池田校長は「（倒れた日は）新入生の部活動の
練習初日で、激しい連動は行っていないが、先輩
との初練習で緊張していたのではないか。学校と
しては当然のことをしたまで」と話している。

　市は、五年ほど前に小学校の校庭で走っていた
児童が突然倒れ、意識がしばらく戻らなかったこ
とを踏まえ、昨年度全校に導入した。

　AEDの使用法を消防隊員らに指導している渋
川総合病院の横江隆夫院長は「今回効果があった
ことからもAEDの普及は必要」と話している。

公立小中学校で導入の動き加速　AED

　渋川市が全小中学校に自動体外式除細動器（A
ED）を設置しているほか、他の県内十一市の公
立小中学校でも導入の動きが加速している。

　前橋と冨岡は本年度中に全小中学校への導入を
予定。藤岡市は本年度と来年度の二カ年で小中全
十六校に導入を計画している。

　桐生と太田は全中学校に既に配備。小学校二校
に設置してある伊勢崎と、みどりは夏までに全
中学校に導入する方針。

　館林や沼田、安中は設置していないものの、今
後の導入に向け検討。高崎は公民館や長寿センタ
ーなどには配備しているが、小中学校の設置はないという。