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2006-07-04

ベトナム人材育成プロジェクト

112 Mitakai Kaiho 20060630

現代の大学は利益追求を目的とした企集に対して、
客観的で高度な知的コングロマリットの中核でなければ
存在理由がない。また国際的には、欧米先進国主導で
決定されることが多いテーマだけでなくアジア、アフリカ
地域も包含した共同研究すべきテーマを提案して行かねば
ならない。(前文より)

塾では今、この様なプロジェクトが動いている

ベトナム人材育成プロジェクトについて

慶應義塾大学 斎藤信男名誉教授

プロジェクトの概要

今年度からODAを使ったベトナム人材育成プロジェクトが
慶應義塾大学主導のもとに立命館大学と協力しながら発足
する運びとなった。
これは、ここ数年その意義に賛同しベトナムのハノイ工科大学
を相手に準備をやってきた努力がようやく実を結ぼうという
ところである。
その目的は、日本語のできるITエンジニアを日本とベトナムの
協力の下で育成していくというものである。ベトナムは、まだ
GNPも低くいわゆる近代産業も大きく育ってはいない。IT産業は、
設備投資はそれほど多く必要とせず、人材育成をすれば
とりあえずIT産業界を立ち上げることが出来る。日本のIT産業界
は、現在いわゆるオフシヨア開発をアジア地区で盛んに行って
おり、親日的なベトナムに対してもこれから多くの発注をする
ことが期待できる。日本から見れば、オフショア開発の対象地
であった韓国、中国は徐々にコストが高くなり、もっとコスト
の低い国へ発注をシフトしたいという戦略になる。インドも
強力な発注先として急速に注目されているが、オフショア開発
の対象国は複数あった方がリスク対策にもなる。
また、日本の大学から見れぱ、IT人材育成は必ずしもうまく
やってこなかったという反省があり、現在IT産業界あるいは
経団連などからもっとしっかりして欲しいという要請がある。
その意味では、ベトナム人材育成プロジェクトが日本の大学にも
刺激を与えて、より優れたIT人材育成を構築できるという利点が
ある。
このプロジェクトのそもそもの発足は、数年前のIT担当大臣が
ベトナム側の対応する大臣とAITI(Asia IT Initiative)という傘の
下でIT人材育成プロジェクトの大枠を合意したことから始まる。
AITIは内閣官房が担当部署であるが、経済産業省も強い関心を
持ち、このプロジェクトを支援してきた。昨年12月にベトナム
政府側が最終的にこのプロジェクトを開始することを決断し、
本年9月からハノイ工科大学に新しい学科が出来ていよいよ
スタートすることになった。
そこで行われる教育は、おおよそ以下のような内容である。
なお、ハノイ工科大学は5年制の大学で、ベトナムでもトップ
級の大学である。
l)前半3年間(実際は2年半)は、一般教育とインテンシブな
    日本語教育を現地で実施
2)後半2年間は、一部の学生(l20名中20名)が慶應義塾大学あるいは
立命館大学へ留学し、IT関連についてインテンシブに学ぶ。
現地に残った学生は、IT関連についでインテンシブに学ぶ。
3)日本に留学した学部生の一部は、慶應または立命の大学院修士
更には博士課程に進学し、将来のT関連研究教育の指導者
を目指す。

以上のサイクルを4回分、縁り返す。従って、2006年度から始まり、
9年間継続するプロジェクトとなる。
これらの費用は、国際協力銀行(JBIC)をとおしたODAの借款50億円、
JICAをとおした無償技術協力20億円が基本となっている。
現在、JBICの改革案が政府サイドで議論され、JBICとJICAが将来
合体することになっているが、このプ□ジ工クトはその意味では
両者が融合した最初の事業になると期待されている。
また、経済産業省の技術協力の無償供与も実施してくれるという
約束になっている。

慶応義塾が行う意義

このような人材育成プロジェクトを、慶應義塾大学がベトナムで
展開する意義は何であろうか?ITエンジニアの教育の見直しといった
意義も勿論あるが、義塾は更に深い関連があると思われる。現在、
ベトナムのハノイまたはホーチミンには、日本の企業がかなり進出
しているが、その現地駐在で活躍しておられる方々には義塾出身者が
大勢いる。112年三田会関係者も勿論おられる。義塾の卒業生の方々
にお会いしてお話を聞くと、いずれもこのプ□ジ工クトに興味を
示され、是非協力したいと申し出をされる。実に有難いことで、
そこに連帯感が生まれ、義塾の良い意味での伝統が生きてくる。
明治の時代に日露戦争に日本が勝利をした時に、アジアの地区の
人々にかなり刺激を与えた。いわゆる白人主導の世界で、アジア人
である日本人がその力をはじめて世界に示した例となった。
その時にはベトナムでも同じ反応を示し、新しい人材育成の機関
として「東方義塾」という組織を作ったとの事である。そこには、
「義塾」という名前が使われたが、福澤先生の作った慶應義塾の
ことをきっと考えて付けたと思われる。この組織は、当時植民地
としてベトナムを支配していたフランスから禁止令が出て、
やむなく潰れたということである。それからlOO年たって、また
人材育成に慶應義塾が関われるのは、何かの縁であろう。現在、
アジア地区は21世紀の世界の主流にならんとしているかに見える。
日本は今まで一人で頑張つてきたが、むしろ現在は中国、韓国、
インドなどのライバルに追われている状況である。しかし、
先進国と自認している日本は、アジアのために尽力することは
決して無駄ではない。それなくして、アジアの盟主には決して
なれないし、アジアの国々からの尊敬も得られないだろう。
ODAを人材育成のために借款を使うというのは珍しいようで
あるが、将来への投資と思えば、今後もっと進めるべきだろう。
その意味でも、今回のプロジェクトが真にベトナムの国作りに
役に立ったと思われるように、慶應義塾関係者一同で努力すべき
であろう。皆様のこ協力を是非お願いしたい次第である。

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