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2007年7月29日 (日)

電子媒体を使った証券市場構想

電子媒体を使った証券市場構想
SENDAQ構想研究会座長・東北大学教授 西沢昭夫
日経新聞19970721

地方企業を育てるエクイティカルチャー訓練

財団法人、東北産業活性化センター会長明間輝行東北電力会長
や学者グループが中心になって、中小・ベンチャー企業育成のための
電子媒体を使った証券取引システムSENDAQ=仙台電子取引システム構想
を進めている。法律、制度面や仕組み
など課題は多いが、現在の店頭市場や
地方證券取引所のあり方に一石を投じている。

-本部を仙台市に置く構想だが、既存の地方証券取引所と
どこが違う。「米国のNASDAQ(米店頭株式市場)にならい、
物理的な取引の場を持たずにコンピュータを介して海外と
24時間取引できるようにする。当面、公開対象は東北企業に
絞るが、投資家は国内外から広く募る。
 ー店頭登録企業が増えているのに、今なぜ必要なのか。
 「店頭登録企業は八百社近いが、地方では知名度が高く
ても全国的には名前すら知られていない企業が多い。売買
高もまだ少ない。規制緩和で店頭市場も改善されると思う
が、地方企業の育成にはやはり地方の取引所が必要だ」
-地方証取は上場企業数も少ないし、情報通信ネットワ-クの進展
で不要論すら出ている。
 「廃止論は危険だと思う。英国では一度廃止した地方証取を見直し、
地方企業を呼び込む動きがあるし、米国でも地方証取は残っている。
例えば新潟証券取引所に上場した雪国まいたけという会社は、外資系の
アナリストが取り上げたりして注目を浴びた。もし最初に店頭市場に
いったのでは埋没したかもしれない。東証、店頭、地方の各取引所が
競争した方がいい」
 -低金利で金融は緩和している。中小企業は金に困っていないのでは
ないか。
 「それは全く逆だ。お金は経済がある規模に達すると保守的になって
運用に回り、企業、特にベンチャーには流れなくなる。今こそベンチャー
企業にお金が流れる仕組みをつくる必要がある」
-「具体的な仕組みや効果がまだ見えない。
 「東北地区の経済規模からすると、もつと公開企業が多
くていい。公開できる力を持つ企業はあるが、エクイティ
ファイナンス(資本市場からの資金調達)というカルチャ
ーが育っていない。具体的な成功例があれば、後に続く企
業が出てくるだろう。米国ではその地域が成功するかしな
いかは、エクイテイカルチャ-が根付いているかどうか次
第だとの指摘もある」
 「日本では上場前と上場後では、外部株主やデイスグロ
ージャー問題などで差が大きすぎる。SENDAQは本格的な
市場公開の前段階として、投資家にも企業家にもエクイティ
カルチャーを訓練する場と考えている」
 -構想実現には課題も多い。株式公開する企業の乗っ
取りなどの不安をなくすためSENDAQに株主権代行を
認めたり、公開株数を制限する案も出ているが、これだと
投資家は消極的になる。
 「確かにあまり制約を加えるのは良くない。かといって
全く自由にするわけにもいかない。SENDAQには、投資家、
企業家双方に的確にアドバイスするレフェリー制度が必要
だと思う。ベンチャー企業経営の成功者や弁護士、公認会計士
などプロ集団で構成する非営利の支援組織をつくるのが望ましい」

<ひとこと>具体化はどこまで?東北経済の実力占う

 地方証券取引所への単独上場企業数や店頭登録企業
数を調べると、東北地方の少なさが目立つ。例えば、
北海道は地方単独上場、店頭公開企業合わせて四十
社。東北は北海道の一・七倍の経済規模なのに6県合わせても
19社にすぎない。「東北はエクイティカルチャーが遅れている」
(西沢氏)のだろう。
 構想を進めている関係者は「仙台には既存の証券取
引所がないから、SENDAQのような新しい試みはむしろやりやすい」
というが、構想実現のための詰めた検討や推進母体がどこまで
具体化できるか。東北経済の行方と実力を占う試金石でもある。
(仙台支局長 須田清雄)

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