ところ変われば、オーストリアから、サウナ混浴、友の証し。
ところ変われば、オーストリアから、サウナ混浴、友の証し。
2007/05/19, 日本経済新聞 夕刊, 3ページ, , 859文字
仕事やスポーツの疲れを汗と共にサウナで流す快感にはまっている人は
日本でも少なくないだろう。もともと「サウナ」はフィンランド語で、
日本では一九六四年の東京五輪をきっかけになじみになった。歴史が長い
欧州ではサウナの入り方にもお国柄の違いがあらわれている。
驚くなかれ、ドイツ、オーストリア、スイスのドイツ語文化圏では
全裸の混浴が一般的だ。オーストリアでは温泉プールは水着着用だが、
サウナは一転、男女ともすっぽんぽん。「グリュス・ゴット(ごきげんよう)」
と一声かけ、空いているスペースに腰掛けたり、寝そべったりする。
男女別が定着している日本人には違和感が大きいが、老若男女が一緒に
自然に振る舞う習慣になれると、文字通り身も心も解放された気分になる。
サウナを大切にする暗黙のルールもある。施設を汚さないよう、
タオルは足元まできちんと敷き、汗を床に垂らさないようにする。
また、湿度を均一にし、みんなが快適に過ごせるよう、ベテランの男性が
絶妙のタイミングで「いきますよ」と声をかけ、タオルを数十秒間、
振り回す。
自宅に浴槽はなくても、サウナを設置する人も少なくない。
ある日本人外交官はドイツ赴任時に友人宅に招かれ、食事後、
「うちの娘たちとサウナにでも入っていって下さい」と言われ、
耳を疑ったという。しかし、サウナは友好促進の手段で、友人として
信頼された証しにほかならない。
もっとも欧州どこでも同じというわけではない。英仏などは男女別が
一般的だし、東欧ではそのうえで水着着用の人もいる。ただ、
ドイツやオーストリアの観光客に人気のスロベニア、クロアチアでは
じわじわと全裸混浴が広がっているようだ。
もともと日本の温泉も混浴が一般的な社交場だった。日本の伝統的な
温泉の楽しみ方とドイツ、オーストリアなどのサウナ文化には底流で
通じる部分がありそうだ。(ウィーン=桜庭薫)
【図・写真】ドイツ語圏のサウナ文化では身も心も裸になる
全裸の混浴が最適と考えられている((C)〓sterreich Werbu
ng/H.Wiesenhofer)
広瀬洋一 ㈱アサヒ商会社長
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