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2004-10-31

  金鉱山のあるギニアの通信事情によせてより

■萬晩報 コラム配信ジャーナリズム■ http://www.yorozubp.com/
萬晩報コナクリ通信員 齊藤 清

 ところでこのイリジウム、その実態は軍事通信衛星であるということはあま
り知られていないようです。民間の人間にも使わせているのは、看板をカムフ
ラージュさせるためには役立っていますけれど、実際のところそれはまったく
おまけのようなものです。

 HF帯、VHF帯の電波を使う従来の軍事用移動通信機では、機材の重量、
通信可能距離、通信の安定性等々にいろいろな不都合があります。VHF帯の
電波では比較的安定した通信が確保できるものの、距離が稼げません。HF帯
の電波を使用する場合は長距離の交信が可能であるけれども、通信の安定性、
確実性は電離層の状態に大きく左右されます。

 例えば、1991年の第一次湾岸戦争で英国の特殊部隊SASがイラクの砂
漠で行った「ブラヴォー・ツー・ゼロ」と通称されるゲリラとしての破壊工作
作戦では、工作員が持ち込んだHF帯の無線機で作戦本部との通信が確保でき
ず、砂漠からの脱出に失敗しています。電離層の状態変化に合わせた適切な周
波数を選択できなかったことが、通信途絶の原因でした。――世界最強と称さ
れる英陸軍特殊部隊といえども、知識不足に起因する杜撰な準備を行うことも
あったようです。

 この戦争と前後する時期、米国のモトローラ社主導でイリジウム衛星携帯電
話計画がたてられ、日本の京セラ社なども参加して総額6000億円程度の投
資をしたものの、60個を超える通信衛星の打ち上げと複数の地上局の整備、
端末の製造など、多くの時間を要する壮大な作業が一段落する頃には、世界の
携帯電話を取り巻く環境が大きく変化していました。そしてイリジウム社は経
営を維持できず会社は破産することになります。この衛星電話会社の破産処理
として、衛星を含む一切のシステムを2000年暮れに米国防総省のダミー会社が
30億円ほどで引き取りました。実際のシステム運用はボーイング社が引き受
け、米国防総省を「メインの顧客」として、現在世界各地で展開している英米
の侵略戦争を通信面で強力に支援しています。

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