主要ホテル低迷、5月、大阪、稼働率最低61%、東京も「採算割れ」。2009/07/04, 日本経済新聞 朝刊, 11ページ, 有, 1544文字
主要ホテル低迷、5月、大阪、稼働率最低61%、東京も「採算割れ」。2009/07/04, 日本経済新聞 朝刊, 11ページ, 有, 1544文字
ホテルの利用低迷が深刻だ。東阪の主要40ホテルの5月客室稼働率は東京が67・6%と採算ラインとされる70%を4カ月ぶりに割り込み、大阪は61・7%と近年で最低水準。外国人・ビジネス客離れが進み、大阪は「新型インフルエンザ」も響いた。ホテルオークラ東京(東京・港)などが50%を下回る一方、割安なネット販売に強い京王プラザホテル(同・新宿)は85%を維持、優劣が鮮明だ。値下げ競争も過熱し、客室単価も軒並み前年割れしている。
日本経済新聞社が東京22、大阪18の主要ホテル稼働率を調べた。稼働率は実際に宿泊した部屋を全客室数(改装中を含む)で割った数値で、一般に80%以上が健全経営の目安。70%を割ると、営業赤字に陥りやすいといわれる。東京の平均稼働率は前年同月に比べて6・2ポイント低下。大阪は前年比17・1ポイントも下がり、重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した近年最低の2003年5月の67・8%も大きく下回った。
外国人客が約4割を占めるホテルオークラ東京の稼働率は昨年12月から6カ月連続で前年比10ポイント以上下がった。「ゴールデンウイーク中は国内レジャー客が好調だったが、外国人客の減少を埋めきれない」(同社)
都内最大規模の1438室を持つ京王プラザは割安なネット販売が貢献した。全体の約2割を占めており、例えばツイン1万9000円(1室2人利用)からと正規の半額以下だ。
大阪のホテルの多くは外国人比率が1~3割と東京より低いため海外ビジネスマンの出張減少などの影響が小さく、稼働率の前年比下げ幅は4月まで1けただった。だが5月に関西を中心に新型インフル感染者が広がった影響で出張や修学旅行のキャンセルが相次いだ。クロスホテル大阪(大阪市)は稼働率が58・7%と前年比27・7ポイント下がり、「出張客も減り、経験したことのない落ち込み」と話す。
東阪の主要15ホテルの5月の客室単価も調べたところ、すべて前年を下回り、6ホテルの減少幅は10%を超えた。多くの客が低価格帯の部屋に流れているうえ、各ホテルが国内レジャー・家族客取り込みに向け、割安プランを競っているためだ。帝国ホテル東京(東京・千代田)はこのほど、バイキング形式の朝食を付けた宿泊プランを発売。価格は1室4人利用で4万8800円と通常より3、4割安い。
5月の訪日外国人数は前年比34%減った。業界では「ホテル需要の回復は来年以降」(帝国ホテルの小林哲也社長)との見方が多い。
【表】5月の主要ホテル客室稼働率と単価
〓-〓 単位は稼働率が%、客室単価が円。カッコ内は前年同月比ポイント、↓は低下、客室単価は%、▲は減 〓-〓
▽東 京 稼働率 客室単価
○帝国ホテル東京 59.0(↓19.1) 30,175( ▲3.8)
○ホテルオークラ東京 47.1(↓13.5) 24,100( ▲4.7)
○ホテルメトロポリタン 69.6(↓14.7) 13,102( ▲5.6)
○ロイヤルパークホテル 63.4(↓12.7) 20,500( ▲6.8)
○パークハイアット東京 45.3(↓18.2) 49,665(▲11.7)
○第一ホテル東京 75.1(↓10.9) 22,242( ▲8.3)
○セルリアンタワー東急ホテル 65.9(↓13.6) 25,747(▲10.1)
▽大 阪
○ホテル阪神 71.7(↓13.5) 10,714( ▲3.8)
○天王寺都ホテル 59.8(↓18.2) 10,278( ▲5.4)
○シェラトン都ホテル大阪 58.5(↓13.4) 9,603(▲10.3)
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